レンズ比較特別企画 2006年

5. レンズ比較特別企画 [2006/05/01]

 

この手の比較は世の比較記事を見ても当てにならないし、他人の言葉などはあまり信用できるものではない。レンズにしてもカメラにしても場面が違えば全く違った性能を表すものである。カメラの場合は色合いとか諧調どかレタッチでどうにでもなる項目もあり、レンズも色のりとか周辺色収差とか色々の要因が評価の目的をうやむやにしてしまう。評価をするには何を評価するのかを明確にし、その特性を明確にする方法で評価しなければならない。

 

今回の評価は解像度ということに焦点を当てている。色合い・周辺色収差・周辺減光などに関してはそれぞれ若干の違いがあるが、それらは現像段階でそれぞれ修正して、同じように見えるようにしている。同じ条件で撮影することは以外と難しく、ピントがあっていなかったり、環境の明るさが変化したり、何度も何度も撮影しなおしている。窓から撮影ができるので、時間は節約できたが、それでも結構の時間をとられてしまった。

 

5.1 Nikon Ai-S35mmF1.4 VS Canon EF35mmF1.4L

 

F8の撮影では双方に違いはみつからない。周辺まで解像度が落ちないどちらも優れたレンズである。F2.8の比較ではNikkonレンズに周辺の劣化が見られる。周辺といってもほんの四隅のわずかな部分である。価格が半分以下であり前玉の大きさがキヤノンLレンズとは比べ物にならないのでいたしかたないところである。私の入れ替えの目論見はみごとに外れてしまったわけであるが、同時にL単のすばらしさというのも実感できた。ただニコンレンズはMFレンズでありフォーカスリングの滑らかさはこのレンズを捨てるにはもったいない。MFフォーカスに関しては5Dと私の目でAF以上のピントあわせに自信があるので、ニコンレンズに勝ってほしかったのであるが、しかたがない。

左から

Nikon Ai35mmF1.4S

Nikon Ai50mmF1.2S

左から

Canon EF35mmF1.4L

Canon EF50mmF1.4

5D Nikon Ai35mmF1.4S

Av=8.0 Tv=1/250

5D Canon EF35mmF1.4L

Av=8.0 Tv=1/250

5D Ai35mmF1.4S

Av=2.8 Tv=1/3200

5D Canon EF35mmF1.4L

Av=2.8 Tv=1/4000

5.2 Nikon Ai-S50mmF1.4 VS Canon EF50mmF1.4

 

Ai50mmとEF50mmの比較であるが、色合いや露出のくせに若干の違いがあるが、解像度特性に関しては中央から周辺にいたるまで、F8からF1.4まで全くといってよいほど違いはない。形状的にそう大きな差がないことから写りも感じられる差はない。ただ使いやすさという面で見るとEF50mmに関してはMFでのピントあわせのし難さはがまんの限度を超える。ガタが大きく中で滑っているようで、手の感覚でもピントリングのもどしが元の位置と違っている。それに比べAi50mmのピントリングの滑らかさは非常に使いやすく、なによりもF1.2のエクストラの描写がある。やはり、もうこれはわたしの常用レンズである。

5D Nikon Ai50mmF1.4S

Av=8.0 Tv=1/250

5D Canon EF50mmF1.4

Av=8.0 Tv=1/250

5.3 Nikon Ai-S50mmF1.2 VS Canon EF24-70mmF2.8L(50mm)

 

問題のEF24-70mmF2.8Lとの比較であるが、AiとEFは同じ写りであるので、今回はAi50mmと比較している。まずF5.6での比較であるが、解像度はさすがに単焦点レンズのほうが良い。しかしF2.8となると単焦点では周辺解像度が落ちてズームのほうが若干良い気がする。ズームレンズは特徴的には、絞っても解像度があまり上がらないという私の過去の感覚と一致する。つまり絞り値に対する解像度の変化があまりない。中央解像度は単焦点のほうが良く、絞って使えは周辺も良くなってくる。結果的にこのEF24-70mmF2.8Lもそう悪くはなく、きびしい解像度を要求しなければ、ズームである分便利である。しかしF2.8以下の描写は当然ながら望めない。

左から

Nikon Ai50mmF1.2S

Canon EF24-70F2.8L

5D Nikon Ai50mmF1.2S

Av=5.6 Tv=1/250

5D Canon EF24-70F2.8 (50mm)

Av=5.6 Tv=1/250

5D Nikon Ai50mmF1.2S

Av=2.8 Tv=1/1600

5D Canon EF24-70F2.8L(51mm)

Av=2.8 Tv=1/1600

5.4 Canon EF200mmF2.8L VS Canon EF70-300mmF4.5-5.6DO(200mm/300mm)

 

やはり単焦点のほうが解像度は高い。今回はF8.0のみの評価であるが、これで差がでれば、開放時の差はもっと大きくなる。単焦点のほうが良いことは撮影前からわかっていたことである。問題はこのDO・ISズームの便利さ300mmの画角を捨ててまでこのレンズを捨てられるかということである。ということで300mmで撮影したサンプルも上げてある。これも見ればわかるが、たしかに絵は大きくなっているが同じ部分を見たときの解像度は200mmをリサイズして大きくした絵よりも悪い。これでは300mmの意味がない。200mmをトリミングしてリサイズしたほうが解像度が高いのであるから。ただ背景のボケの量は少なくなるが、L単のほうが明るいので絞りを開ければボケ量も補正可能と思える。

左から

Canon EF200mmF2.8L

Canon EF70-300F4.5-5.6DO

5D Canon EF200mmF2.8L

Av=8.0 Tv=1/200

5D Canon EF70mm F4.5-5.6 DO (210mm)

Av=8.0 Tv=1/160

5D Canon EF70mm F4.5-5.6 DO (300mm)

Av=8.0 Tv=1/80

5.5 Canon EF70-300mmF4.5-5.6DO(80mm) VS Canon EF85mmF1.2L

 

この比較評価はおまけである。やる前から勝負は見えているが、どれだけ差があるかという評価である。とかくEF85mmF1.2Lに関しては開放時の評判が先にたって、絞ったときの解像特性はあまり聞かないが、私は絞ったときの解像度は手持ちレンズの中では一番だと思っている。いずれにしても、F1.2という開放時の表現は他に換えられない価値をもっているので撮影会などでのポートレート撮影ではこれ一本で十分であろう。ただ多少重いので、旅行に出かけるときは持っていかないことのほうが多い。

左から

Canon EF70-300mmF4.5-5.6DO

Canon EF85mmF1.2L

5D Canon EF70-300mm F4.5-5.6 DO (80mm)

Av=5.6 Tv=1/250

5D Canon EF85mmF1.2L

Av=5.6 Tv=1/320

5.6 Nikon Ai-S50mmF1.2のサジタルコマフレア

 

この比較評価レンズの違いによる比較ではなく、絞り値によるフレアの出方を見ている。夜景の撮影には、周辺部に発生するフレアが画質を劣化させる。ニコンのページによると鳥が羽を広げて飛んでいるように見えることからこの名前がついたらしい。F1.2の左下周辺にTV走査線による典型的なこのフレアが見られる。撮影はISO1600でノイズも多いが飽和しないように撮影している。F2.8まで絞ればほぼ問題はないが、F4.0で使えば周辺解像度もかなり改善され、完璧である。

5D Nikon Ai-S50mmF1.2

Av=1.2 Tv=1/640

5D Nikon Ai-S50mmF1.2

Av=1.4 Tv=1/400

5D Nikon Ai-S50mmF1.2

Av=2.0 Tv=1/200

5D Nikon Ai-S50mmF1.2

Av=2.8 Tv=1/100

5D Nikon Ai-S50mmF1.2

Av=4.0 Tv=1/60

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